高気密高断熱の家って家中温度が均一で暖かいんでしょ?
と思っている方が多いのではないでしょうか。
快適に過ごすためにはC値やUA値以外にも間取りの工夫が必要なんです。
実際に冬晴れた日の室温実測結果も見せながら解説していきたいと思います。
高気密高断熱の家って本当に暖かいの?
という疑問を持っている方にも参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
冬晴れた日の室内温度
家の性能と地域区分
今朝8時の外気温は0℃、LDKの温度は17.5℃でした。
室内温度は17℃を超えていて外気温の割には暖かいのですが、
体感はちょっと肌寒い感じです。
家の性能はC値0.4、UA値0.42です。
私が住んでいるのは地域区分で言うところの6地域になります。
気温がマイナスになるような日はかなり少ない地域ですので、
今日は1年間の中でも相当寒い日です。
地域区分というのは国土交通省が取り決めている指標で、日本全国を8つの地域に区分して地域ごとに断熱性の基準を設けようというものです。
数字が小さいほど寒いのでより優れた断熱性能が求められる地域になります。
地域区分
出典:IBEC
室温実測値
我が家では朝方17.5℃だったLDKをエアコン21.5℃設定で稼働していると
晴れて日射がある日は昼間のLDKは写真のように24.4℃まで暖まります。
エアコンの設定温度よりもかなり高くなっていますね。
部屋がこんなに暖まる秘密は昼間の日射にあります。
LDKは南の窓からの日が入ってくるのですが、窓越しに直接太陽の光が当たる場所の気温は写真のように32.2℃でした。
この日差しに温められて、LDKはオーバーヒートして窓の近くは若干暑く感じます。
しかし、LDK以外の部屋も暖かいかというと、実はそんなことはありません。
各部屋の扉を閉めた状態では、昼間でも直射日光が入らない北側の脱衣所は17℃程度、2階の北側の部屋も16.5℃程度までしか上りませんでした。
高気密高断熱の家は小さなエアコン台で家中暖かくなると聞いていたんですが、、、
家の中の温度ムラもなく快適に過ごせると聞いていたのですが、、、
考えてみると当たり前なのですが、扉を閉めたままではエアコンも日当たりもない部屋の温度は上がりません。
それでも、昼間は外気温が6℃まで上がってきたとはいえ、
この寒い日にエアコンも日射もない部屋で室温15℃以上を保つことができているのは家の性能が良いおかげだと思います。よい家を作っていただけたことに感謝です。
快適に過ごすための工夫
理想の暮らしに近づけるための実験
試しに全ての部屋のドアを開けてLDKで作った暖かい空気を1階、2階の各部屋に送り込みます。こうすることで全ての部屋が暖められますし、LDKのオーバーヒートも若干緩和されます。
暖められた空気を送り込んだ2階の部屋の室温はこちら。16.5℃だった部屋が19.1℃まで上がりました。
1階北側の脱衣所も17℃から19.5℃くらいまで温度が上がっています。
理想と現実のギャップ
私はyoutubeで勉強していたとき、「小さなエアコン1台で家中暖まってどの部屋も均一な温度になるのでとても快適」という言葉をよく耳にしていました。言葉を心から信じて家づくりをしてしまった私は実際に住んでみて理想とのギャップを感じてしまいました。冷静に考えればわかることなのですが、扉を閉めてたら熱は移動しにくいですよね。
そう、今考えると当たり前の話ですが、高気密高断熱な家といえども、部屋の扉を閉めていると室温はそれほど上がりません。エアコンがある部屋と、暖めたい居室の扉をしっかり開けてやることでようやく暖まります。
ただ、誤解して頂きたくないことは、気密性と断熱性が十分なレベルの住宅なら、全部屋の扉をフルオープンにすれば小さなエアコンでも家中を十分に温めることができると思います。そしてそのために必要な電気代も性能が低い家と比較すると格段に安くすることができると思います。
でも、実際に家族で生活するとなると各扉をフルオープンで暮らし続けることができるでしょうか。子供が小さいときは可能でも、思春期になってくるとそうはいかないのではないかと思います。家の設計打ち合わせ時はエアコン一台で暮らす気満々で打ち合わせをしていたのですが、実際に住んでみるとやはりエアコンは各部屋に1台必要なのではないかと思い始めました。設計士さんが各部屋にエアコンを付けることができるように考えておいてくれて本当に良かったと思います。
少ないエアコンで家中快適にする工夫
1階のLDKは24℃あるのに、扉を全開にしても2階の居室は19℃です。実際は長い時間このまま扉を開けておくと21℃くらいまでは室温が上がっていくのですが、それでも家中同じ温度とは言い難いです。そう、暖かい空気は上に上がっていくとは言え、そのスピードは遅いんです。つまり、エアコン一台で部屋中均一な温度に保つには何か工夫がいると思います。
1.間取りの工夫
我が家はリビング階段を採用していて、空気が2階に抜けるルートはこの1箇所だけです。暖かい空気はここから徐々に上がっていくのですが、冷たい空気が逃げる場所がないんです。もし吹き抜けがあればリビング階段と吹き抜けで1階と2階の空気がぐるぐる回る流れを作ることができるのではないかと思います。
2.建具や設備の工夫
うまく暖かい空気が循環すればエアコン1台で十分に部屋中を暖めることができる気密性と断熱性があるだけに、6畳程度の小さな部屋に台エアコンを購入するのはもったいないような気がします。例えば、壁にファンを取り付けて外の空気を部屋の中に取り込みやすいように工夫できれば、扉を閉めたまま部屋の中を温めることも可能なのではないでしょうか。
私は間取りの設計中にこのあたりのことには全く気が回りませんでした。もちろん設計士さんも提案してくれませんでした。住んでみて現実を知って初めて色々と調べることになりました。
例えばこの動画の6:08あたりから紹介されているような内容です。下にスクリーンショットを載せますが、ドアの上部が空いて廊下の空気を取り込むことができるようにしていたり、壁にファンを設置して部屋の暖かい空気を外に送り出すことができるようにするアイディアを実践されている方もいるようです。
また、我が家は澄家という換気システムを採用しているのですが、換気システムの吹き出し口を階段付近に設置してみるというのも2階に温かい空気を送るために有効だったんだなと思いました。youtube動画の一部を載せるとこんな感じです。青枠で囲んだ矢印のあたりに、見えにくいんですがガラリが設置されています。youtube動画へのリンクも貼っておきますのでご参考にしてみてください。写真のシーンは6:14あたりになります。
https://www.youtube.com/watch?v=gMT0X7cnwAQ
こんな感じで調べてみるといろいろなアイディアがあるようで、もっと早く気づいていればもいろいろな工夫ができたはずだと思います。良い住宅メーカーは断熱気密を良くするのはもちろんのこと、空気の流れまで考えて快適に過ごすための冷暖房計画を提案してくれる住宅メーカーだと思います。
まとめ
c値やUA値のような家の性能だけでは快適な暮らしが必ずできると言い切ることはできないと実体験しました。家の性能を高くすることは最優先で必ず実施するとして、その先の空気の流れを考えたり、空気を理想的に流すための設備の導入も工務店やハウスメーカーと一緒になって考えていってもらえたらと思います。
立地によって日射が取りにくかったり、逆に日当たりが良すぎて夏熱くなったりといろいろな条件があると思いますが、c値やUA値だけではない、暮らしやすさを考える参考にしていただければ嬉しいです。